いろいろ

狼と香辛料11、12】

狼と香辛料〈11〉Side Colors2 (電撃文庫)

狼と香辛料〈11〉Side Colors2 (電撃文庫)

狼と香辛料〈12〉 (電撃文庫)

狼と香辛料〈12〉 (電撃文庫)

最初の故郷に帰るって主題と外れてしまったから当然だけど段々と微妙になっている。
ラノベは10巻くらいで終わらせるのが良いと前に書いたけど、
やはり10巻くらいで盛り上がることができないならば、ここが終わらせるポイントだと思う。
とは言っても一度逸れてしまった旅の目的を急に戻すわけにも行かないわけで続くのは仕方ないけど。


アスラクライン13】

なんというか・・・これで完結だったわけだが・・・
展開早すぎて尻すぼみの終わり方だったと言えるだろう。
あと1冊・・・元の世界に戻った後で後1冊使うべきだったのではないだろうか。


嵩月と契約したことは前巻にわかってたけど余裕で元気なのね・・・紛らわしいからカプセルに入れたりすんじゃねぇよ!
あと、そうなるとは思ってたけどほとんどみんな生き残ったね。
敵味方ともに事情はあるのはわかるけど物分り良すぎなんだよな、みんな。
大体、部長は智春の兄貴を殺して操の姉が死ぬ原因になって色んな人を巻き込んで不幸にしまくったんだから、
あんな簡単に許すとかありえなさすぎる。
時間を巻き戻さないという結論に達したわけだから、兄貴死亡、環緒さん消滅は確定ですよ。
真比和も氷羽子も結果的には襲った人は無事だったけど完全な殺人未遂。
そこら辺の感情の動きが急展開すぎて全然書いてないから超置いてけぼり。
さらに最後の敵があんだけ倒せない倒せないとか言っておいて最終的に物理的な力で何とかなるとか。
お前、そんなのありだったらまず試せよ!時間と空間操れるんだから物理的な力が効くなら何とでもなんだろ!
大体、魔力が必要で魔神相剋者の存在を認めるんなら全員で魔神相剋者になればいいじゃねぇか!
そして最後にエピローグで今までほとんど出番のなかった妹が鳴桜邸に来るところで終わるわけだが、智春は帰ってきてねぇし、
結局歴史は繰り返す的な感じで終わるし、なんだかなぁと言った感じ。
なんか最後の妹が出るのも外伝の宣伝みたいに見えて正直良い感じとは思えない。
ディケイドの続きは劇場で!まで酷いわけじゃないけど。
良かった所は第一生徒会長がイケメンだったと言うこと。
何度も書いてるが物語は終わってこそだと思うし、その終わり方でイメージも大分変わると思う。
正直、残念な終わり方だったと言えるだろう。


と言うわけで全13巻のこのシリーズだが、個人的には結構好きだった。
ロボあり銃撃戦あり肉弾戦あり魔法あり学園ありと要素が詰め込まれまくってた作品で数撃ちゃどっかの属性に当たるだろという感じ。
後半戦はちょっと展開が重いけどコメディ色が強いのでそこまで悲壮な感じがしない。
それは良いところでもあり、少し物足りない部分でもあったかなと思う。
特に人の生き死にがかかってる事であそこまで物分りの良い対応をされると、どうなのよって思う。
まぁこれは電撃の購読年齢層的に仕方ないのかもしれないけどさ、大きなお兄ちゃんはメインターゲット外さ・・・
最後の最後で嵩月とちゃんと契約してくれたのはほっとしました。
うーん・・・やっぱり最後の終わり方だけが悔やまれる。
アニメにもなったんだから、あんな急な終わり方しなくても良いじゃない。


銃姫10、11】

銃姫 10 (MF文庫J た 4-10)

銃姫 10 (MF文庫J た 4-10)

銃姫 11 (MF文庫J た)

銃姫 11 (MF文庫J た)

ついに銃姫が完結した。
最後は一気に読んで欲しいとかで2冊まとめて発売されました。
終わる終わる詐欺にならなくてよかったね!


灰海戦の最後から始まり、セドリック対5万の兵士、ルーカとの親子の対面、アンと結ばれて束の間の平和な生活からその終わり、
アン救出の中で明かされる世界の謎、銃姫の謎、そして決着と一気に進みました。
個人的にプルートはもうちょっと頑張るのかなと思ってたんだけど、結構あっさりと退場。
彼はアンを女王にしてスラファトを潰す気だったけど
水の精霊王が復活したら大災害だったって事を知ってからは最終的にセドリックを担ぎ上げる気だったのだろうか。
数年後に暁帝国の客将にでもなってくれればとか言ってるから憎んではいても同時に期待もしていたのかなぁ。


最後のボスであるアスコリドは最後に人間らしさ、そして決して悪人ではなく多くの民を救おうとしていた事が明らかになった。
今までは冷酷非道な王様として描かれていたのとは違う、何かを守ろうとする姿勢、王としての義務を果たそうとしていただけ。
多くを救おうとしたのがラスボスであるアスコリドであり、主人公であるセドリックはアンを救うために結局大災害を起こし、
何十万人を犠牲にしてしまった形になる。
まぁ、結局のところメルメットの女王がアンを封印する事を拒否った訳だから、
何をどうやっても現状を維持しようとするアスコリドの考えは通用しなかったのだろうけど。
何かを選び取るためには何かを犠牲にする事を受け入れるという、ある意味では主人公らしくない選択だったのかもしれない。
個人的には全てを守ろうとするよりも、何か一つを守ろうとする主人公の方が俺は好きだけど。


最後の最後に存在感を出しまくった親父、ルーカ=アスラシオン。
今まで彼は小説ではチラッと顔を出してくるだけで重要人物ではあり最初から名前は出ているものの出番は少なかった。
しかし流石に最後は出てくる出てくる。
颯爽と現れては息子のピンチを救いまくるその姿はまさに漫画版の主人公だったころの格好良さ。
最後の2巻は漫画の銃姫を読んでいればどうしたって主役のセドリックよりもルーカに目が行ってしまうのではないだろうか。
グレイシスについて悪態を付き捲りつつも本当はべた惚れだったのが伺えるやり取り。
セドリックが生まれた時に食費について語っていたり逃亡生活ながらそこには救いがあったことを思い浮かべてしまいます。
息子を父として見守り導き、時には助け、守りきったルーカ。
状況が彼を普通の父親とすることを許さなかった。
だけどメルメットの女王が親ならば絶対に子供を守る、そう確信できるほどに彼は人の親になっていた。
これは漫画では人を信用することができなかったルーカのはっきりとした成長した姿だった。
小説だとルーカの出番は少なかったが銃姫は親子2代に渡るメンカナリンというシステムへの反抗の物語だったのだ。
エピローグではセドリックはアスラシオンの姓を名乗っているようだし、親父の勇姿は息子の心に刻み込まれたのだろう。


というわけで全11巻となった銃姫という作品を振り返ってみよう。
この作品で何が良かったと問われれば、やはり各種の設定だろうか。
魔法の設定は勿論、世界の設定、国ごとの対立、神々や神話。
ファンタジー物はそこらへんの好みが合わないとダメだが、この作品は俺の趣味にあっていた。
魔法を弾丸として扱うという設定は他にもあるが、そこに一工夫している感じ。
あと主人公の属性が闇なのだが、効果が蟲を召還したり死者の群れを出したりグロい魔獣を出したり敵を発狂させたりと、
普通だったら敵が使ってきそうな魔法が主力というのは素晴らしい。
闇なら闇らしく、変に格好良い感じにされると萎えるよね。
物語の主軸になるのはセドリック、アン、エルウィングの人間模様だが、
元々は群像劇にしたかったと言うだけあってサブキャラクターもしっかり描かれている。
アラベスカの話とかはもっと読みたかったな、何故か最後は目立ってたけど。
メインではブラコンまっしぐらのヤンデレ最強エルお姉ちゃんが良かった。
いかんせんボーイミーツガール的な面がある物語のため劇中ではアンに取られちゃうけど後書き曰く、最終的にはエルウィングのねばり勝ちだとか。
最後にはセドリックと同化したけど、その後はどうなったのか・・・子供に転生したとなると母娘での争奪戦か・・・


この作品を読むなら是非コミック版のほうも読んでもらいたい。
漫画を読むと読まないのでは最後に大活躍する親父の魅力が伝わりきらないだろう。
漫画を読んでいれば面白さは倍増すること間違いなし。
メディアミックス展開をするにあたってはただ別媒体で同じものを焼き直すよりも、
このようにプレストーリーや外伝などをやるのが作品世界を広げることにもなる正しい姿なのではないかと思う。


良い作品であった、面白かった。